江戸時代随一の国語学者
東條義門師に学ぶ
若狭歴史民俗資料館 嘱託 永江秀雄先生
江戸時代の俸大な国語学者、義門の業績は甚だ多いが、
特に「活用形」の研究とともに、
この「信心」に発する音韻(おんいん)の研究が有名である。
中国から伝わった漢字には、
末尾が「ン」と発音される文字が極めて多いが、
今これを仮にローマ字で書くと、
同じンでもnの音とmの音の別があり、
このnを「ン」、mを「ム」と書き分けられていることを、
義門師は論証されたのである。
この妙玄寺の近くには、今も願慶寺・証明寺という真宗寺院がある。
その当時、この辺りでは
「証明寺は琴ひく、願慶寺は三味(しゃみ)ひく、妙玄寺は糸ひく」
と、はやしたとい話がある。
妙玄寺では夫人も内職をして苦しい家計をささえ、
義門の研究が続けられた。
金銭や名利を全く度外視し、ひたすら真実を求め
学問に精進して、世に貢献された義門でありあった。
言の葉の道の大先達である師の生きざまを思い、
わが身につまされて涙させられることがある。
美しい若狭を守り伝えたい・・・・