耕養庵蒼島短歌 平成二十三年一月分 入選作品
道問へば「なんもなんも」とやはらかき大野の人の言葉が返る
岡本 澄子
寸 評
越前弁の中でも大野の方言には柔らかさがありますね。
一寸交わした会話の中からすかさず柔らかさを汲み取る作者。
誕生日一月七日七草の粥祝ひつつ母を恋ひゐる
藤田 幸子
寸 評
一月七日は誕生日に当たり正月に相応しいおめでたい歌。
七草粥を食べながら母を思い出している作者がよくわかる歌。
長靴を越ゆる雪より掘り出だす人参太く色の鮮し
岩本 和子
寸 評
今年の大雪には、たまげましたね。長靴を越す程の雪。
雪掘り人参の鮮やかさが見える様です。赤とか朱色とか言わなかった所がベテラン。
朝ごとにご飯ですよともてなせる嫁の笑顔と汁の温もり
宇多 蔚乃
寸 評
歌の奥処に一家円満の光景がのぞいている。
汁の温もりで一首を決めている。幸せな家庭の見本のような歌。
亡き母の手業受け継ぐ昆布巻き竹の皮裂き確と結びぬ
池田 和栄
寸 評
今はどこのスーパーにでも昆布巻きは盛られているが昔は、
みな家で巻いて作ったものだ。昔懐かしく思ひ出させる歌。
今回もたくさんのご応募ありがとうございます。
耕養庵では引き続き皆様の素敵な作品を募集しております。
美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・