耕養庵蒼島短歌寸評 平成二十三年 六月
ほどほどの人生で良しと言い夫はデザートのごと薬を飲めり
福井市宝永 帰山 貞子
寸 評
ご主人様はどこか悪い所があるので薬を飲まれているのだと思いますが、
暗いことは言わないでデザートのように薬を飲まれたという
何かさわやかなおおらかな雰囲気を感じます。お大事に。
十四基の原発もてる故郷に戻ってこいとう気力萎えゆく
鯖江市糺 山本 幸子
寸 評
東北の原発事故を見てより地元にある原発が気になります。
絶対安全とは言えないふるさとに都会におられるであろう息子さんに戻れということばが鈍ります。
この歌四、五句で決まりました。親心が読者に伝わります。
エプロンのポケットの中に野菜種自転車漕ぐたび微かに音する
若狭町下夕中 井上 弘子
寸 評
この歌を読んで顔がほころびます。
この歌ポケットの中・野菜種・自転車を漕ぐ・微かな音など具体的に言ったので
作者の心を捉えます。明るく詠まれています。
携帯の電波がもしも見えるなら私はぐるぐる巻かれてしまう
坂井市坂井町上関 林 フミエ
寸 評
きっと着信の多い方でしょう。
楽しい発想をする方で独創的な詠み方がよいですね。
爽やかな風の吹きくる店にゐていつも迷へるそれぞれの味
若狭町仮屋 鹿野 公夫
寸 評
あれも食べてみたい、これもほしい作者の選んでいる姿が写ります。
耕養庵のおまんじゅうはおいしいですね。それぞれの味が甘そうです。
今回もたくさんのご応募ありがとうございます。
耕養庵では引き続き皆様の素敵な作品を募集しております。
美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・