耕養庵蒼島短歌寸評 平成二十三年 五月
門口の梅の古木に花満ちて旧き我が家に品格添ふる
小浜市山手一丁目 加納 暢子
寸 評
作者の焦点は梅の古木にあります。
古木であっても季節が来れば満開に花をつける。
旧家に梅の古木、香り高い花益々繁栄を示唆しているお目出度い歌です。
何気なき言葉が胸に刺さる日はふわりふわりと大空舞ひたし
小浜市奥田縄 落谷 美予子
寸 評
誰でもこういう経験はありますね。
この歌は大変重い歌ですがおおらかに詠まれています。
何気なき→胸にささる→大空舞ひたしと畳み込むように詠まれていて巧みな歌です。
只管に走り過ぎたる歳月を重ねしままにまだ走りをり
小浜市遠敷 中村 志津子
寸 評
人生を走力に比喩して詠まれていて面白いと思います。
一・二句は過去、三・四句は現在、五句まだ走りをりは未来に向けて、
作者はそう若くはないと思います。
趣味も楽しみを味わいながら、休み休み歩んで下さい。
子守りせし駄賃も親に渡せりとふ媼は語る遠き日のこと
小浜市遠敷 山本 保子
寸 評
なつかしい駄賃という言葉がありましたね。
昔はみんなが貧しかった様に思います。
そしてその子なりに手に合う手伝いをしましたね。懐かしい歌です。
花の種まかむと土を起しゐてあわや蛙に鍬当つところ
小浜市谷田部 岡田 満子
寸 評
土を耕していてこういうことがありますね。
そのハッとした瞬間を歌にされたいい題材です。
物ごとの瞬間を詠まれた歌にはその場を見てゐる様な臨場感があります。
今回もたくさんのご応募ありがとうございます。
耕養庵では引き続き皆様の素敵な作品を募集しております。
美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・