(高浜町郷土資料館平成15年度企画展資料より)
釈宗演(一八五九〜一九一九)
福井県高浜町出身。臨済宗。禅の修行後、慶応大学卒。
スリランカに遊学。円覚寺、建長寺両山の管長に就任。
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子を拝む
児童虐待が急増している。
昨年度の児童虐待相談件数は
約四万件で、
統計開始の二〇〇二年と比較すると
四〇倍の増加(厚労省)。
さて宗演十六歳の時、
京都で小僧生活をしていた。
ある日師匠が外出していた折、
宗演はお寺の本堂縁側に寝ころんでいたが、
厳しい修行の疲れでやがてそのまま眠ってしまった。
そのうちに師匠が帰って来た。
師匠は宗演が寝ているのを起こさずに
足もとへ回ると、おもむろに彼に向って一礼して行った。
夢うつつのうちにこれを知った彼は、
深く師の態度に感じ入った。
のちに宗演はこのことを回想し、つねに言った。
「いやしくも法門に身をゆだねる者は、
万事にこのような謙譲慈悲の心がなければならん」
子どもに慈悲の心で接しているか、
感情的ではないか。
明治の高僧による現代への警鐘である。
海岸寺住職 石崎靖宗
美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・