若狭会古


    

瓜割のヰの冷たさや夏帽子          杉崎 康代


 涼を求めて(2)ー瓜割りの滝ー




瓜割の滝は名水百選の一つで、
若狭町天徳寺境内の杉林の中にある。
ここより湧き出る水量は豊富で、岩を下るとき小さな滝をなす。
水温は年間を通じて十二度。
冬は暖かいが、夏は冷たく、瓜をひやしておくと割れることから名付けられたという。


水は天徳寺区内の家庭用水や田畑の潅漑に使われている。
 天徳寺は平安時代の天徳年間に泰澄大師によって創建されたと伝えられ、
その年号をとって名付けられた寺である。


境内の入り口には長谷川秋子の句碑「犬吠ゆる冬山彦になりたくて」がある。
 本尊をまつる観音堂は、瓜割の谷川をへだてた山すそにあり、
現在の本堂は明治三十三年に再建されたもの。
そのわきから高い石段をのぼると大師堂があり、
そのまわりを八十八体の石仏が取り囲んでいる。
これは大師堂のまわりを一巡すれば
四国八十八箇所の霊場をまわった御利益があると考え出されたもので、
石仏の前の丸い穴には四国の霊場から運んで来た土が埋められている。


石仏は江戸時代の文化年間に佐渡から運ばれて来たもので、
大師堂もそのころの建立であろう。


 豊富に湧き出る水を利用して、天徳寺の周辺は名水公園として整備され、
寺への参道には地元産物の直売所もあり、
八月の第一月曜日には名水まつりが催されている。
 人手の多い時をさけて名水公園の周辺を散策するのも、
夏の涼を求める一策といえよう。       (Y)



   


美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・