一期一会
幕末の大老【井伊直弼】の『茶湯一会集』に
「抑、茶道の交会は、一期一会といひて、たとへば幾度おなじ主客交会するとも、
今日の会に再びかえらざる事を思へば、
実に我一生一度の会なり。
主人は万事に心を配り、聊かも粗末なきやう深切実意を尽くし、
亭主の趣向、何一つも疎かならぬを感心し、
実意を以って交わるべき也。之を一期一会といふ。」
とあるように、茶道においては、その時その時の出会いを、
それが生きている間の最期の出会いと考えて、
茶会を催せと教えている。
再び会えると思うと、私達の気に弛みが生じる。
二度と会えぬ出会いとして、いま現在の出会いを大事にしろ!
それが茶道の精神である。
私たちは毎日の生活の中で、
人との出会い、心を揺り動かされる感銘深い言葉、
一生忘れ難い出来事にしばしばめぐり合うことがある。
人生のあらゆることが「一期一会」であり、
心の琴線に触れるような出来事は、
人生一生に一度の邂逅であることと自覚し心に刻み大切にしたいものである。
「一期一会」という言葉は茶道の言葉ではあるが、
人生のあらゆることが一期一会であることを思い、
生活の指針とすべきである。
円明寺 笹川真照
美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・