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小浜・甲ケ崎「おっしゃいのう」

(八月十五日お盆の精霊船送り)


旧盆の八月十三日夕刻、里帰りした家族と共に全員が

揃ってお寺にお参りしてお精霊さんを迎え、
 
十四日には棚経をもらい、十五日お寺での盆施餓鬼が終わると、

自家のお精霊さんの経木塔婆を、

集会所前の五色の施餓鬼旗で飾られた精霊船にお飾りする。

この精霊船は盆前の日曜日に、子供たちも手伝って、

区内には法華宗と臨済宗の二ヶ寺あるため二艘作り上げる。

以前は船の全長がもっと長<、船全体がガッチリした構造で、しかも三艘作ったのである。

龍骨は昔と変わらず船の浮力を保つため丸竹を使用しているものの、

船体の仕上がりが美しくその上浮力がある麦藁を使用していたが、

現在では麦作りの農家も無く、稲藁で代用するため船全体が貧弱になり、

各寺で一艘ということになった。



 夕陽が小浜湾の彼方に沈む頃、お盆にお迎えした仏さんをお乗せした手作りの精霊船は

集会所を出発し、五色旗を掲げた子供達の

「流れ、流れ、おっしゃいのう」と、声を揃えての高い声に囃され、

区内を一周して海辺に着<。お蔓荼羅を大書した帆を掲げた精霊船は、

夕日の照る中、檀家の皆さんのお題目唱和の裡に、沖へ沖へと流れて行く。

海辺であるため手作り船での

「おしょうらいさん送り」である。

                      笹川真照






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