神宮寺の長押(なげし)〜節分に思う〜
海岸寺住職 石崎靖宗
今年も節分の季節ですね。私が修行した京都の坐禅道場でも
豆まきをやりますが、道場によっては一風変わった掛け声のところがあります。
普通は「福は内、鬼は外」ですが反対の「福は外、鬼は内」。
さて、お水送りで知られる神宮寺本堂には、
象と獏(ばく)の飾り彫り長押(なげし)が屋根の両側にあります。
こうした長押は魔よけとして、屋根の外側に外向きで据えるのが一般的ですが、
神宮寺は反対の内側にあり内向きです。
それは深遠な意味があるのですが、専門的なことはさておき、
私はこれらを、自分自身が鬼や魔物に陥っていないかという戒めと受けとめています。
福を仏とすると、光があれば影があるように、
人間は鬼にも仏にもなりえるといえましょう。
今年一年、おのれの人生に対して真摯で謙虚な姿勢を誓うつもりで、
豆まきをしたいものです。
鬼も悟れば仏となり
仏も迷えば鬼となる (古歌)
http://www.geocities.jp/u9ji/
海岸寺 <臨済宗相国寺派 福井県>