象の渡来(千年行列)
日本で初めて象が上陸したことを記念し、
若狭路博のメインイヴェントの一つとして、
実際に生きている象が、
南蛮の衣装を着けた人たちと一緒に小浜市中を練り歩いた。
秋晴れのコバルトブルーの大空のもと、
巖のような象の巨体が、粛々とあゆみ進むさまは、
沿道を埋める人々の目と心を奪った。
「さすがに、大きいなー」とため息が聞こえる。
足利時代の昔、応永の頃、
南蛮船に乗ってやって来た象は、
当時の人々をもっともっと驚かせたことだろう。
佛画でみるかぎりは白い象、
だが目の前で動いているのは黒みがかった象、
樹木の幹のような太い脚、筒のような長い鼻、
大きな耳、愛くるしい目、巨体にふさわしい大食漢振り・・・。
応永の頃の小浜の人々は、南蛮人をみて奇異に思った以上に、
象の巨大さに圧倒されたことだろう。
異国の文化の取入れ口であった小浜、
象の渡来≠ェ巻き起こした旋風を、
いま一度この小浜市に吹かせたい。
山名暢雄
美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・