耕養庵蒼島短歌 平成二十三年七月分 入選作品



葉のかげに隠れて紅き椿咲く恥ぢらひて吾は行き来しや

                                                            市村 義郎

寸  評

椿の花は葉かげに咲きます。それを見て作者は、
行き来し方を椿の花のように謙虚に生きて来ただろうかと反省されている
作者の生き方に敬服します


花あれば花にゆき風あれば風をよすがに一首を詠まむ

                                                          高波 清子 

寸  評

人生を卓越した静かな心境ですね。花鳥風月をよすがとされ、
作歌活動に勤しんでおられる作者この上なく至福です。





オしねまと言はれて応ふ吾に寄り都会の友はりて聞く

                                                     児玉 普定

                         

寸  評

初句は越前の方言で「早くしなさい」との意味ですね。
初めて聞く人は驚くかもしれません。都会の友も驚いたに違いありません。
方言にはしみじみとした趣きがあります





我を忘れ入院の夫見舞ふ日々今日山裾に藤の花見ゆ

                                                      加納 暢子


寸  評

山裾に咲く藤の花に癒されるなど言はず「藤の花見ゆ」と言い放ったところが老練。
「我を忘れ」に夫婦の絆を感じます。「我を忘れ」忘れたわけではありませんが
やんちゃぽく言ってユーモアがあります。





団子に目を輝かせそうろりと幼は園より持ち帰り来る

                                                          領家 公子 

寸  評

幼にとり団子虫は宝なのです。団子虫に目を輝かす幼
それをやさしい目差しでみつめる祖母の姿が
彷彿として読者に伝わります。




今回もたくさんのご応募ありがとうございます。
耕養庵では引き続き皆様の素敵な作品を募集しております。


美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・