耕養庵蒼島短歌 平成二十一年九月分 入選作品




 

蟋蟀がわがサンダルに止まりゐるお前も一人暮らしかと問ふ
                               
藤田 幸子                 
          

寸 評

   立ち話をしていてふと見ると作者のサンダルに蟋蟀が止まって動かない。
作者は何気ない事を見逃すことなく気を止めて「お前も一人暮らしか」と、
心を寄せる老いていく者のやさしい目差しが感じられる


 

夕日影受けつゝ歩む野の小道不思議に心の落ち着きてくる
                                        
岡本 澄子
                          

寸 評

   作者には、心忙しく一日を過ごして来られたのでしょう。
夕方の散歩でしょう。夕日に包まれて野中の道を歩いていて、
気がついたら和やかに心が落ち着いている。
大自然の抱擁に落ちつきを取り戻す作者、畏敬の念を感ずる歌です。



  
弟を俊足球児と甲子園にアナウンサーの声未だ残りて
                                        
塩谷 トミ子

           
  寸 評

   甲子園に出場するだけで、とても誇りに思うのに
俊足球児とアナウンサーに放送されたその誇りは、生涯作者の胸を
温めてくれます。姉として弟さんを誇りに思って居られる作者の気持ちが
読み取れます。

   


今回もたくさんのご応募ありがとうございます。
耕養庵では引き続き皆様の素敵な作品を募集しております。


美しい若狭を守り伝えたい・・・・・・