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他生の縁



NHKの朝ドラ「だんだん」の冒頭で、
「袖振り合うも他生の縁」と、
古来から言い古されている言葉を歌に織り込んでいたが、
それは通りを歩いているときなど、
人と袖が触れ合うのも
宿縁によるものだと言う意味である。


 「たしょうの縁」というのを国語辞典で
調べてみると『多生の縁』とあり、
他の辞書には「他生の縁」は
「多生の縁」の誤用とあり、
「前世から定まった因縁」と説明されている。


しかし、
もし、「たしょうの縁」が
前世で結ばれた縁のことであるとしたら
『他生の縁』の方が
理に適っているように思われる。


 多生とは「いくたびも生まれ変わって、
様々な生を亨ける
過去・現在・未来に
無数の生存の一つ一つで縁があるとしたら、
その期間ずっと縁があり続けるという意味で
「前世で結ばれた縁」だけを差すわけではない。



我々は来世における縁は
未だ経験しているわけではないので
現在の生には何の結果も影響ないことになる。




 「前世から定まった因縁」という解釈からすると
「袖振り合うも他生の縁」という場合は、
たいてい前世における因縁が
問題になるのだから、
やはり「他生の縁」の方が
正しい使い方ではないだろうか。 
  


                                  
               円明寺住職    笹川真照





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