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 「佛舞」(魂の伝承・その三)



 本年の四月十六日(土)・十七日(日)・十八日(月)の三日間に亘って、

福井県福井市糸崎町の糸崎寺において、佛教伝来を賛嘆する、

最古の佛教伝承芸能の一つである「佛舞」が奉納されました。



本年は、三十三年に一度しかない大開帳の年にあたり、

しかも前年の二月には、

糸崎の「佛舞」が国の重要無形文化財に指定されましたので、

例年になく多くの参観者が競うように該寺を訪れ、

大変な賑わいを見せました。


 大開帳では、秘佛の千手観音が長年の眠りを解かれ、

その威光を四辺に鮮烈に放ち、

観音の手から繋がる善の綱に縋る人達もいて、

一種独特の雰囲気に満ち溢れていました。




 現在の研究では、全国に十三の「佛舞」が残されていますが、

ほとんどのものが、江戸時代に再興されたもので、

糸崎寺のように中国寧波の阿育王寺から伝承されたことが分かり、

確実に千三百年近い歴史を有することが知られるものは極めて稀です。




このことを、中国・広州の中山大学(平成十三年)と、

昆明の云南大学(平成十六年)で開催された国際学会で発表・講演し、

各国の民俗・佛教学者達から質問を受けると同時に、高い賞賛に与りました

(中国から伝わった「佛舞」は、もう中国には残っていません)。




 それにしても、郷土の伝統文化財を、

僅か二十数戸の糸崎の人達の手で守り抜いてこられたのは、

大変なことであったと思われます。

近年、楽人・舞人役も、長老達が次々と引退し、

世代交替が確実に進んできています。

こうした古い伝統が発展的に継承されて行くことを、

ただただ祈る今日この頃です。


                        国立舞鶴高専人文科学科教授 

                                  文学博士 村上 美登志







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